前橋地方裁判所 昭和49年(そ)1号 決定 1974年5月31日
主文
本件請求を棄却する。
理由
本件補償請求の趣旨は、請求人提出の別紙刑事補償請求書記載のとおりであるから、これを引用する。
記録によると、請求人は昭和三八年六月二八日前橋地方裁判所で傷害、鉄砲刀剣類等所持取締法違反の罪で懲役二年に処せられ同年七月一日確定したが、請求人は右判決に対し再審の請求をし、昭和四七年一一月三〇日前橋地方裁判所で右請求が棄却されたことが認められる。右事実によると、請求人は、刑事訴訟法による通常手続又は再審の手続において無罪の裁判を受けた者ではなく、同法の規定による免訴又は公訴棄却の裁判を受けた者でもないことは明白である。従つて本件刑事補償の請求は刑事補償法一条、二五条の要件に該当しないから理由がない。なお本件同旨の請求につき昭和四七年一二月二六日前橋地方裁判所において請求棄却決定があり、同決定に対する即時抗告の申立につき昭和四八年一月三〇日東京高等裁判所において抗告棄却決定があり、同決定に対する特別抗告の申立につき同年三月一日最高裁判所において抗告棄却決定があり、右各決定には裁判官の署名押印がないから無効であると主張するが、請求人に送達されたのは右各決定原本の謄本であり、裁判官の署名押印のないのは当然のことである。
よつて本件請求はその理由がないので、刑事補償法一六条後段により主文のとおり決定する。
(別紙 請求人提出の刑事補償請求書省略)